Unihertzから発売されている、Jelly Starを入手しました。
Jelly Star - 最小のAndroid 13スマートフォンwww.unihertz.com
この端末は、以前レビュー記事を書いたことのあるJelly 2の後継機種にあたります。
kazudot.hatenablog.com
2023年6月よりクラウドファンディングが実施され、現在では一般販売もされています。
元々ブルーとレッドの2色構成でしたが、2023年11月にブラックが追加され、現在では3色構成になっています。
この機種、発表当初から気にはなっていたのですが、「手に入れても運用方法が思いつかないなぁ」と考えてしまい二の足を踏んでいました。
そんなタイミングで知人がJelly Starを手放すという話を聞き、よい機会だと思ったので譲ってもらった…というのが入手の経緯です。
本記事では、Jelly Starでベンチマークの実行や写真撮影などを試してみて、端末が持つポテンシャルを探ってみたいと思います。
外観
普段は同梱物チェックまで細かく行いますが、今回は知人から譲ってもらったものであるため省略し、端末の外観チェックのみを行います。
前面・背面
前面の画面下部にはJelly 2から引き続き戻るキー・ホームキー・履歴キーがハードウェア式で独立して設けられています。
そして、背面を見ると、Jelly Starの一番の特徴である、本体内部が透けて見える透明なデザインがハッキリとわかります。
どことなくゲームボーイカラーを彷彿とさせるデザインで、(記事執筆時点で)30代前半~後半くらいの方々に刺さるのではないでしょうか。
カメラ用フラッシュとは別に、Nothing Phoneシリーズのようなライトも内蔵されており、結構な光量で光ります。光らせ方や光るタイミングを設定で変更することもできます。
端末本体が丸っこく可愛らしい形状なのも相まって、光るのが「カッコいい」というよりは「おもしろい」という印象が強いです。
カメラ用フラッシュと同時に光らせることができるので、懐中電灯代わりの用途だとか、カメラ撮影の補助照明のような使い方ならアリ…でしょうか。
側面
側面のボタン類などに関しては画像のとおりで、ここは先代機種であるJelly 2を踏襲した設計になっています。
側面にある、本体カラーと違う色になっているボタンがプログラミングキーで、様々な機能やアプリのショートカットを割り当てることができます。
スピーカーはモノラルで、音質はこもった感じのいわゆる安っぽい音という印象です。音量は十分出るので、普段使いでアラームを鳴らすような用途では困ることはありませんでした。
サイズ感チェック
Jelly Starがどれだけコンパクトなのか、というのを手持ちの他端末と並べて比較してみました。
ProシリーズでないiPhoneを比較対象にしたかったのですが、あいにく所持していないため本体サイズが近い(縦方向が若干短い)初代VAIO Phoneで代用しました。
並べてみると、Jelly Starの小ささが伝わりやすいかと思います。
ちなみに、比較対象とした端末の各サイズは以下のとおりです。数値と写真を見比べると、サイズ感の違いがより際立ちますね。
機種 | 本体サイズ |
---|---|
Jelly Star | 95.1 x 49.6 x 18.7mm |
VAIO Phone VA-10J | 141.5 x 71.3 x 7.95mm |
(参考)iPhone 15 | 147.6 x 71.6 x 7.80mm |
iPhone 13 Pro Max | 160.8 x 78.1 x 7.65mm |
一方で、フットプリントが小さい分、かなり厚みがあります。
試しに手持ちのフォルダブル端末(Galaxy Z Fold 4・ケース付き)を折りたたんだ状態にして並べてみましたが、本体の厚みがよくわかります。
端末スペック
前モデルであるJelly 2と、カタログスペックレベルでの比較をしてみます。
Jelly Star | Jelly 2(日本モデル) | |
---|---|---|
本体サイズ | 95.1 x 49.6 x 18.7mm | 95 x 49.4 x 16.5mm |
本体重量 | 116g | 106.5g |
SoC | Helio G99 | Helio P60 |
メモリ | 8GB | 6GB |
ストレージ | 256GB(UFS2.2) | 128GB(UFS2.1) |
バッテリー容量 | 2000mAh | 2000mAh |
Androidバージョン | 13 | 10→11 |
FeliCa対応 | - | ○ |
スペック参考(Jelly Star):Unihertz Jelly Star - 最小のAndroid 13スマートフォン
スペック参考(Jelly 2):Unihertz Jelly 2 - 3インチ小型FeliCaスマホ (日本)
本体サイズや重量は、Jelly 2から主に厚みと重量が増加しています。
バッテリー容量が据え置きであることを考えると、背面に搭載されたライトギミックの分で重量が増加したものと思われます。
SoCはHelio G99が採用されています。2023年後半になってから、中華製品でこのHelio G99搭載を謳う機種が増えてきたように思います。
性能に関しては、この後のベンチマークの項でチェックしてみたいと思います。
メモリおよびストレージはJelly 2からパワーアップし、8GB/256GBとなりました。
Jelly 2発売当時もそうでしたが、発表時点でのミドルレンジ帯の端末に引けを取らない容量が確保されているのは安心感があります。
また、Jelly 2では日本向けにFeliCaチップを搭載(おサイフケータイ対応)したモデルが用意されていましたが、
Jelly StarにはFeliCaチップ搭載モデルはありません。
開発コストの影響か、ライトギミック実装の都合かは不明ですが、Jelly 2からの買い替えを検討する方にとってはネックになり得るポイントです。
搭載機能をチェック
Jelly Starに搭載されている独自機能を一部ですが、簡単にピックアップします。
背面ライト
外観の項でも紹介したとおり、Jelly Starの背面にはライトが搭載されています。
Jelly Starと同じくUnihertzから発売されているLunaにも背面ライトのギミックが搭載されていますが、あちらは色を切り替えられるのに対して、Jelly Starでは発光色は白のみの単色で、明るさのみが調整できます。
設定から、光量や光らせるタイミングの設定を行うことが可能です。
充電や動画再生に連動して光る他、任意のタイミングで点灯させることも出来ます。
ホーム画面に表示可能な、LED機能の切り替えウィジェットも搭載されています。
インテリジェントサポート
Android標準の設定に含まれない、Jelly Star固有のカスタマイズ機能がまとめられている項目です。
「メモリ拡張」の項目からは、擬似的に本体メモリの容量を拡張する設定が行なえます。
Jelly Starに本来搭載されている8GBと合わせて、最大で15GBのメモリを搭載しているように扱うことが可能です。
ちゃんと翻訳されていない項目がありますが、これは通話録音に関する項目のようです。
ベンチマーク
各種ベンチマークソフトを使い、端末性能をチェックしてみました。
前モデルのJelly 2との比較をしたいところでしたが、あいにくJelly 2は既に手放してしまっているため、 代わりに2023年基準で見てローエンドな端末として、初代Rakuten Hand P710を比較対象とし、性能比較を行いました。
Jelly StarとRakuten Hand P710のスペック比較
今回比較する2機種のSoC・メモリ・ストレージの各スペックを記載します。
Jelly Star | Rakuten Hand P710 | |
---|---|---|
SoC | Helio G99 | Snapdragon 720G |
メモリ | 8GB | 4GB |
ストレージ容量 | 256GB | 64GB |
ストレージ規格 | UFS 2.2 | eMMC |
Rakuten Handに搭載されているSnapdragon 720Gは、2020年頃のミドルレンジ帯の端末で使用されていたSoCです。
ざっくり検索した範囲だと、XiaomiやOPPOなどのメーカーでの使用例が多かったようです。
私が使ったことのある端末の中だと、Redmi Note 9sに使用されていました。
初代Rakuten HandとRakuten Hand 5Gの性能比較結果を情報収集してみたところ、 どちらも同程度のベンチマークスコアになる、という結果が複数のサイトで見られたことから、 「Snapdragon 480相当」の端末として初代Rakuten Handを比較対象とすることにしました。
Antutu Benchmark (v10.0.6 / 3DLite)
まずは総合ベンチマークソフトであるAntutu Benchmarkの結果から比較していきます。
3Dベンチマークに関しては、Jelly Star・Rakuten HandともにLite版を使用しました。
Jelly StarがトータルスコアでRakuten Handを上回る結果となりました。
各項目を細かく見ていくと、CPU性能に関してはほぼ互角、GPU性能はRakuten Hand、MEM性能とUXはJelly Starがそれぞれ優勢でした。
特にMEM性能はJelly StarがRakuten Handの1.75倍ほどのスコアを出しており、ここがトータルスコアの決定的な差に結びついたようです。
Antutu Benchmark Storage Test(v10.0.6)
続いて、Antutu Benchmark内のStorage Testで、搭載ストレージの性能チェックを行った結果の比較です。
Jelly Starが、Rakuten Handの結果を圧倒的に上回っています。
初代Rakuten Handではストレージに低速なeMMCが採用されている一方でJelly StarはUFS 2.2が採用されており、それがスコア差にハッキリ現れた形です。
Geekbench 6
Geekbench 6を使用した、CPU性能の測定結果比較です。
シングルコア性能はわずかにRakuten Handが上回っていますがほぼ誤差レベル、マルチコア性能は明らかにJelly Starのほうが上回る結果となりました。
Jelly Starに搭載されているHelio G99、Rakuten Handに搭載されているSnapdragon 720Gともに、2コアの高クロックコア+6コアの低クロックコアで構成されていますが、動作クロックが異なります。
Helio G99は2.2GHz x 2コア + 2.0GHz x 6コア、Snapdragon 720Gは2.3GHz x 2コア + 1.8GHz x 6コアという構成で、Helio G99のほうが低クロックコアの動作周波数が高いぶん、マルチコアスコアに若干差がついたのではないかと推測できますね。
3DMark (Wild Life)
3DMarkを使用した、3Dゲーム性能の比較です。
Jelly Starが、Rakuten Handの結果を大きく上回りました。
Antutu BenchmarkでのGPU性能のスコアはRakuten Handのほうが若干上回っていたため、こちらも両者互角 or ややRakuten Hand優勢かと思っていたので、想定外の結果に驚きました。
CPDT Benchmark
最後に、ストレージ性能に関して、Antutu BenchmarkのStorage Testを補完する形で、CPDT Benchmarkを実行して比較します。
Antutu Benchmarkでの結果と同様の傾向で、やはりJelly Starのほうがストレージの読み書きともに高速に動作しているようです。
実際に使ってみる
ゲーム
いくつかゲームをインストールしてみて、動作の快適さなどをチェックしてみました。
ブルーアーカイブ
人気のゲームから、ブルーアーカイブをチョイスしてインストールしてみました。
ゲストアカウントで新規にゲームを開始し、30分程度進めてみました。
チュートリアル完了までを一通りプレイしてみましたが、ゲームの動作自体は引っかかりなくできている印象を受けました。
ただし、Jelly Starの画面解像度が低いこともあり、細かい文字は輪郭がガビガビに見えるところも。。
ウマ娘 プリティーダービー
以前、Xperia 10 IVとXperia XZ2 Premiumの比較を行ったときにも使用したゲームです。
プロローグ~チュートリアル終了まで進めてみました。
こちらも、UIがタッチしづらいことはありますが、動作としては概ね問題なさそうです。
レース画面で若干もたついている気がする…と思う場面はありましたが、明らかなスペック不足を感じるほどではありませんでした。
ライブ視聴モードも試してみたところ、目立った処理落ちもなく、スムーズに動きました。
アイドルマスター シャイニーカラーズ SongforPrism
3Dでキャラクターが動く重めの音ゲーということで、通称シャニソンを検証対象にチョイスしました。 チュートリアルを終わらせ、音ゲー部分のプレイまで行ってみました。
デフォルトの設定(MV設定:3DMV、3DMVエフェクト:弱)の状態でゲームプレイしてみたところ、譜面スクロールにガクつきが見られ、スペック不足感が否めない状態になりました。
この状態でも比較的低難易度であればプレイはできましたが、いわゆる「ガチ」でプレイするには厳しい印象です。
MV設定を「軽量」にすることでスムーズに譜面スクロールするようになり、試した範囲では少なくともLv25前後までなら処理落ちなくプレイできました。
MV視聴モードも試してみました。ゲームプレイ同様、動くけれどガクつく…という状態です。
全体的に、思ったよりは健闘しているという印象を受けました。
「頑張れば設定次第でゲームプレイは可能だが、本格的なプレイをするには厳しい」というところでしょうか。
また、端末を横持ちすると右手側にスピーカー穴が来るのですが、ゲーム中に手でスピーカー穴を塞いでしまい、音が聞こえなくなることがしばしばありました。
幸い、Jelly Starには3.5mmイヤホンジャックがあるので、ゲームプレイの際はイヤホンを使うと良いかもしれません。
グランブルーファンタジー (Skyleap使用)
最後に、ブラウザ上で動くゲームの中からグランブルーファンタジーで検証してみました。
公式推奨ブラウザであるSkyleapを使用して、マルチバトルに参加するなど、通常のゲームプレイを行ってみました。
エフェクトがごちゃごちゃすると若干引っかかりますが、全体的に許容範囲と言えるレベルで動作しています。
フルオート周回レベルであれば、特に問題なくプレイできました。
カメラ性能
静止画のみですが、ざっくりとカメラ性能をチェックしてみました。
全体的に、黄色っぽい写りになりました。明るいところであれば悪くはないですが、屋内や夜間撮影は厳しい感じです。
ちなみに、カメラ撮影音は設定でオフに出来る他、撮影音がオンの状態でも端末がサイレントモードの時などは撮影音も無音になります。
国内の音声SIMを挿入した状態でも、カメラ撮影音が強制的にオンになるようなことはありませんでした。
まとめ
所感
良いところ
「Jelly 2から正当進化していて、意外と使える性能をしている」というのが、率直な感想です。
2023年現在の他のローエンド端末と比べても遜色ないレベルで動作してくれるので、「ただ見た目が面白いスマートフォン」ではなく、サブ端末として使えてしまうポテンシャルを持っています。
また、Jelly 2の頃に「Wi-Fiが不安定で使い物にならない」という問題に直面したことがあり、自分の環境では解決を諦めたことがあるのですが、 Jelly Starでは何の問題もなくWi-Fiに接続でき、かつ接続も安定しているため、アプリや本体ソフトのアップデートも安心して行うことが出来るようになりました。
そして、何より見た目がかわいいですよね。
何をするわけでもなく、持ち出したくなる魅力があります。
いまひとつなところ
ネックになるのが、Jelly Star最大の特徴でもある本体サイズの小ささ。
画面が小さいことで、画面に表示される文字やオブジェクトも必然的に小さくなります。
また、背面ライトも実用面では微妙かなぁ…と思います。
普段スマートフォンを机に置くときは画面がある側が見えるように置くので、せっかく充電中などで背面ライトがアニメーションしていても見る機会がなく、
一発ネタと化してしまっているのが惜しいところ。
さらに、Jelly 2からの買い替えを検討する場合は、Jelly Starではおサイフケータイ機能が使用できないことも留意する必要があります。
Jelly 2でおサイフケータイを積極的に使用していた方は、おサイフケータイが使用できなくなるというデメリットが許容できるか、よく考えましょう。
まとめ
- Good
- 見た目に反して、なんでも最低限こなせるレベルのポテンシャルがある
- とにかくデザインがかわいい
- Bad
povoや格安SIMを契約して、Jelly Starで使うとちょうど良い感じになると思います。
私はJelly Starのために日本通信の「合理的シンプル290プラン」を新規契約してしまいました。
記事の公開タイミングがちょうどクリスマス時期になってしまいましたので、せっかくなのでクリスマスプレゼントとしてJelly Starを購入することを提案します。
おもちゃとして、またはサブ端末として買ってみると面白いと思います。いかがでしょうか?