かずどっとがまた端末買ってる

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GRATINA KYF39という「Android端末」を弄ってみよう

先日購入したCCコネクトさんのラッキーバッグに入っていた、KYF39という携帯電話。

形状こそ昔ながらの折りたたみ式携帯電話ですが、その中身はAndroid OS、現代のAndroidスマートフォンの親戚のようなものです。

今回は、この折りたたみ式携帯電話の形をしたKYF39という「Android端末」で何が出来るのか、スマートフォンと比較してどこに手が加えられているのか、という点を自分なりに掘り下げて、自己満足に浸ってみようと思います。

注意事項
この記事では、apkファイルを準備してKYF39にアプリをインストールする方法は解説しておりません。あらかじめご了承下さい。

スペック

まずは、KYF39のスペックを確認してみます。

項目 スペック
サイズ(幅×高さ×厚さ) 51×112×17.4[mm]
重量 125[g]
SoC Snapdragon 210
メモリ 1GB
ストレージ 8GB
対応外部メモリ microSDHC(最大32GB)
ディスプレイ 約3.4インチTFT(FWVGA 480×854)
カメラ 約800万画素 CMOS
バッテリー容量 1,500[mAh]
耐衝撃性能 MIL-STD-810G Method 516.7:Shock-Procedure IV
防水・防塵性能 防水(IPX5/IPX8) / 防塵(IP5X)
OS Android 5.1.1
発売日 2019年5月13日

引用元:
GRATINA KYF39 | 製品情報 | スマートフォン・携帯電話 | 京セラ
スペック | GRATINA KYF39 | 製品情報 | スマートフォン・携帯電話 | 京セラ

SoC(CPU)部分に関しては、他のAndroid OS搭載携帯電話でも多く採用されているSnapdragon 210が使用されています。
また、OSに関してはAndroid 5.1.1が搭載されています。KYF39発売当時はAndroid 9が最新であり、当時から見てもかなり古いバージョンのAndroid OSが搭載されていることがわかります。

ちなみに、KYF39の後継であるKYF42ではAndroid 10が搭載されており、ベースとなるOS部分の世代交代が図られています。

操作体系

操作体系は、昔ながらの携帯電話の操作感を踏襲した形になっています。
「10年ちょっと前まで使っていた折りたたみ式の携帯電話ってこんな操作感だったねー」くらいの感覚で操作すると、あまり違和感はありませんでした。

待ち受け画面で決定キーを押すとメニューが表示されて、そこから下の階層はリストで表示されるという構造。数字キーがショートカットキーになっているのが、かつてガラケーを使っていた頃を思い出して懐かしくなります

LINEはプリインストールされていますが、KYF39でのサービス提供は既に打ち切られているため、現在は使用することが出来ません。

メニューからLINEを選択すると、いくつか注意書きが表示された後、アプリのアップデートが始まるのですが、既にサポート終了のためアップデートに失敗します。最初の注意書きから、既に従来型携帯でのLINEサポートが縮小されていたのが見て取れます

待受画面で方向キーの上を長押しすると通知/クイック設定、下を長押しするとアプリ履歴が表示されます。

通知とクイック設定は方向キー左右で切り替えできます。アプリ履歴一覧からはAndroid端末っぽさが感じられますね

メールキーを短押しするとキャリアメール、長押しすると+メッセージ(SMS)が起動します。
キャリアメールはauのケータイプラン契約が前提のため、SIMカード未挿入の場合や、povoや他社回線でKYF39を使う場合はメールキーを短押ししてもエラーメッセージが表示されるのみとなっています。

SIMカード未挿入でメールキーを短押ししたときの画面。キャリアメールアプリがエラーメッセージを表示して、起動しません

ブラウザは操作補助のため、ポインターを任意に呼び出して使うことが出来るようになっています。
通常のカーソル移動だけでは操作が難しいページは、ポインターを使って操作を補助するというような使い道です。

ブラウザの初回起動時に操作説明が表示されます

ポインターが利用できる場面では、画面上部にポインターのアイコンが表示されます。
ポインター使用中はアイコンが明るくなります。

実際にポインターを表示させてみました。デフォルトのポインター速度は移動が苦にならない程度の速さに設定されています

カメラ性能を試してみる

KYF39は800万画素のカメラを搭載しています。
さすがに画質を期待するのは酷ですが、実際の作例をもとに「KYF39でどれだけ頑張れそうか」を見てみたいと思います。

なお、今回は記事執筆時点で私が保有している端末のうち、最もKYF39にスペックが近そうなRakuten miniを比較対象としています。

作例の比較

KYF39で撮影した写真と、Rakuten miniで撮影した写真を並べて比較してみます。

屋外(昼間)

東京駅の丸の内駅前広場で撮影しました。午後3時前後の、よく晴れた状況です。

左:KYF39、右:Rakuten mini

昼間の屋外のような明るい場所では、ぱっと見た感じはそこそこきれいに撮れています。
ただ、よく見るとKYF39の写真はRakuten miniと比べると細かなディテールが潰れているなど、拡大するとわかる粗がちらほら…といったところでしょうか。

屋内

都内某所のスタバにて撮影しました。やや薄暗い環境です。

左:KYF39、右:Rakuten mini

KYF39、Rakuten miniともに、手前側はノイズ感の比較的少ない写りになったと思います。
一方、後方のサンシェードの部分は、KYF39ではベッタリ潰れてしまいました。

屋外(夕方)

夕方の、薄暗い時間帯での撮影です。

左:KYF39、右:Rakuten mini

KYF39の写りは全体的にノイジーでぼんやりした写りになりました。木陰の暗い部分の色が潰れずに見えている一方、背景は白飛び気味です。
比較対象のRakuten miniで取った写真は、KYF39よりは肉眼で見た感じに近い写りですが、暗部は潰れているように見えます。

屋外(夜間)

いわゆる夜景の撮影もしてみました。

左:KYF39、右:Rakuten mini

KYF39は全体的に光量不足なのか、ザラザラの不鮮明な写真になってしまいました。
Rakuten miniのほうは結構健闘している印象です。

KYF39のカメラ機能を使ってみて

撮影画質に出て来ないところですが、撮影ボタン(決定キー)を押してから実際に撮影されるまで、一瞬のタイムラグがあります。

KYF39で感じられるタイムラグは、体感で0.5秒ないくらい。ワンテンポだけ遅れてシャッター音が鳴る感じです。 シャッター音が鳴ったあとは画像の保存処理が2~3秒程度動いているので、連続で写真をバンバン撮っていくのは厳しそうです。

また、KYF39のカメラ機能で寂しいなと思ったのが、UIの部分です。
状態を示すアイコンは何も表示されていません。余計な情報は見せない、という意味では良いかもしれませんが、現在の画質設定なども一切表示されていないのはずいぶん思い切ったUIだなと感じました。

カメラを起動して表示されるのは、本当にこれだけ。かなり簡素なUIです

設定画面

設定画面は、旧来の携帯電話の要素とAndroidスマートフォンの要素が合わさったような画面になっています。
Wi-Fi設定など、一部の設定は「よく使う設定」として別カテゴリにまとめられています。

Wi-FiBluetoothなどが「よく使う設定」にまとめられています。スマホ慣れしていると、Wi-Fiの設定を見つけるのに逆に苦労するかもしれません(自分がそうでした)

前述の通り、Androidバージョンは5.1.1です。
Android端末はバージョン番号を連打することで隠し要素(イースターエッグ)が起動する仕様があるのですが、KYF39ではイースターエッグが起動しませんでした。
イースターエッグの画面はタッチ操作に反応する要素があるため、タッチ操作に非対応のKYF39では起動しないよう、意図的に調整されているものと推測できます。

一方、隠し設定である開発者向けオプションは他のAndroidスマートフォン同様、ビルド番号の項目を7回連打(選択)することで表示可能です。

開発者向けオプションを有効化すると、「その他の設定」に追加されます

その他の機能

ちょっとしたお役立ちツールが多数搭載されています。

「アラーム」「カレンダー」あたりはおなじみの機能ですね。「QRコードリーダー」はカメラ起動中のサブメニュー、「エコモード」は設定画面の「エコ・電池」の項目からも呼び出すことが出来ます

個人的に良いと思ったのが、「漢字チェック」というツール。入力した文字列を、一文字ずつ拡大表示するだけのツールです。
画面いっぱいに拡大されるので、複雑な漢字でも細部まで確認することが出来ます。やっていることは単純ですが、地味に便利だと思いました。

シンプルながら便利なツール。画数の多く複雑な漢字もバッチリです

不要なアプリを無効化してみる

設定画面から、内蔵アプリを無効化した場合の挙動を見てみます。

「設定」→「その他の設定」→「アプリ」→「すべて」から、内蔵アプリの無効化ができます

内蔵アプリを無効化すると、無効化したアプリが表示されていた箇所が「不明」と表示されます。
「不明」状態になっている箇所を選択すると、「このアプリはインストールされていません」というメッセージが表示されます。

LINEアプリを無効化した場合のビフォーアフター。LINEアプリがあった場所が「不明」になっています

Eメール(キャリアメール)アプリを無効化すると、物理キーを押した時にエラーメッセージが表示されるようになります。

一般的なAndroidスマートフォンでは、内蔵アプリを無効化すると痕跡が見えなくなりますが、KYF39では無効化したアプリがあった場所は枠がそのまま残されるため、無効化したアプリの数によっては大量の「不明」が並ぶ、虚無の項目が出来上がることもあります。

au固有のキャリアアプリの大半を無効化した例。「不明」が大量に並んでしまっています

所感:Android OSだが、それ以上にガラケー

Android OSで作り上げたガラケー結局、これに尽きると感じました。

携帯電話からAndroidスマートフォンに移行する黎明期の頃は「形状は携帯電話、中身はAndroidスマートフォン」という、どちらとも取れないタイプの端末もいくつか発売されていましたが、KYF39のような現在の4G対応携帯電話は「たまたまスマートフォンとベースが同じだけで、あくまで携帯電話である」というソフトの作り込みがされています。
Android OSを使用しながらも、従来型の携帯電話のつくりを踏襲した端末を設計した、というのがよく理解できました。

軽く触っていて「イマイチだな」と明確に感じたのは、カメラの搭載位置です。
自分が操作しやすい形で端末を持つと、カメラにちょうど指が被ってしまいます。
端末を横に持って写真撮影するぶんには問題ないですが、縦に持ったまま撮影しようとすると煩わしさを感じました。

指の位置を意識せずにカメラ撮影をしようとすると、このような感じでカメラ部分に指が思いっきり被ってしまいます

端末全体の質感も、安っぽさがあります。
入手経路の関係もあり、ある程度使い込まれたであろう中古品であることも影響していますが、メーカーサイトの紹介にある「墨を流したような、夜空の濃淡をマットな黒色で表現」には結びつかないなぁ…と感じてしまいました。
ただし、操作キーの押し心地は悪くないです。しっかりボタンを押したクリック感があり、誤って隣のキーを押してしまうようなこともありませんでした。

今回はKYF39を使って、Android OS搭載の携帯電話ってどうなっているのか?という個人的な興味を満たしてみました。
このジャンルは結構前から気になっていて、デザインの好みも相まってG'z One Type-XXを実際に購入直前だったほどです。
ちなみに当時は手続きの時間がなく購入を断念し、そのままフェードアウトしました。

スマートフォンに慣れた自分のような人が常用目的や興味本位で買うには適しませんが、「電話オンリーの回線を維持したい」とか、「ボタン操作できる従来型携帯の方が嬉しい」といったシチュエーションでは選択の余地があるのかな、と感じました。
せっかくなので、povoを追加契約してKYF39を運用する、というのも考えてみようかと思います。