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Xperia 10 IV(ソフトバンク版)を購入! その2:過去のハイエンドモデル(Xperia XZ2 Premium)とゲーム性能を中心に比較してみる

ソフトバンク版のXperia 10 IVを購入しました。

購入に至った経緯などは前回記事に書いているので、そちらを参照願います。

kazudot.hatenablog.com

「その2」では、4年前に発売されたハイエンドモデルであるXperia XZ2 Premium(au版 SOV38)と今回購入したXperia 10 IV(ソフトバンク版)の性能を、ベンチマーク結果やゲームを実際に動作させてみた結果などをもとに比較して、主にゲーム性能の面でXperia 10 IVが過去のハイエンドモデルにどれだけ迫ることが出来ているのか見ていきたいと思います。

現在のミドルレンジモデル(Xperia 10 IV) vs 過去のハイエンドモデル(Xperia XZ2 Premium)

動機:なぜ、Xperia XZ2 Premiumと比較するのか?

まずは、比較対象をXperia XZ2 Premiumとした理由から書いていきたいと思います。

きっかけはTwitterのフォロワーがXperia 10 IVへの機種変更を検討していた際、なぜか比較対象に「中古のXperia XZ3」を挙げていたことです。
さらに、ほぼ同時期にTwitterのパブリックサーチで情報収集している際、「ゲーム性能ならXperia 10 IV買うよりXperia XZ3買ったほうがお得」という趣旨のツイートが目に入りました。

どちらもTwitter上で見かけた話題ではありますが、「今の時期にXperia XZ3?ハイエンドモデルとは言えもう4年前の機種だぞ?」と疑念を抱き、調査してみたいと思うようになりました。

私はXperia XZ3は持っていませんが、手元にはXperia XZ3と同じSoC(Snapdragon 845)を搭載しているXperia XZ2 Premium(au版 SOV38)があります。
今回購入したXperia 10 IVと、手元にあるXperia XZ2 Premiumで各種ベンチマークを実行し、結果を比較することで、Xperia 10 IVの比較対象としてXperia XZ2/XZ3が挙がる理由を探ってみたいと思います。

カタログスペックを比較する

カタログスペックから性能を比較していきます。

なお、記載スペックは原則今回比較に使用した機種(Xperia 10 IV:ソフトバンク版、Xperia XZ2 Premium:au版 SOV38)のものです。

Xperia 10 IV Xperia XZ2 Premium
SoC Snapdragon 695 5G Snapdragon 845
メモリ 6GB 6GB
ストレージ 128GB 64GB
ディスプレイ 6.0インチ 有機EL 1080x2520 5.8インチ 4K液晶 2160x3840
バッテリー容量 5000mAh 3400mAh
Wi-Fi IEEE802.11a/b/g/n/ac IEEE802.11a/b/g/n/ac
Bluetooth Ver5.1 Ver5.0
リアカメラ 800万画素(超広角 16mm F2.2)+1200万画素(広角 24mm F1.8)+800万画素(望遠 54mm F2.2) 1920万画素(カラー)+1220万画素(モノクロ)
フロントカメラ 800万画素(F2.0) 1320万画素
価格 定価74,880円、割引後31,800円(〜2022年7月末) 中古参考価格16,800円(イオシス、中古Bランク)

メモリ容量はどちらも同じで、ストレージ容量が異なります。
Xperia XZ2 Premiumの64GBは今となってはかなり容量が小さく感じられますね。ゲーム1本で10GB以上の容量を消費することもあるので、複数のゲームやアプリを入れて使う場合は、やりくりを工夫していく必要があります。

カメラはどちらの機種も複眼レンズとなっていますが、Xperia 10 IVとXperia XZ2 Premiumでは構成が大きく異なり、考え方の違いが感じられます。

価格に関しては、圧倒的にXperia XZ2 Premiumのほうが安価です。
Xperia 10 IVに関してはMNP等を駆使すれば記載の価格より更に安価に購入することも可能ですが、条件が限定されるためここでは考えないことにします。

各種ベンチマークアプリを実行する

ここからは、Xperia 10 IVとXperia XZ2 Premiumで各種ベンチマークアプリを実行した結果を並べて比較していきます。

Geekbench 5 (CPU性能)

左:Xperia 10 IV、右:Xperia XZ2 Premium

Geekbench 5 スコア Xperia 10 IV Xperia XZ2 Premium
シングルコア 669 516
マルチコア 1881 2339

CPU性能に関しては、シングルコア性能はXperia 10 IVのほうが上マルチコア性能はXperia XZ2 Premiumのほうが上…という結果になりました。

このような結果になった理由としては、Xperia 10 IVが搭載しているSnapdragon 695 5GとXperia XZ2 Premiumが搭載しているSnapdragon 845、それぞれのCPUコアの構成が影響していると考えられます。

Snapdragon 695 5Gは8コア構成ですが、高性能なコア(Cortex-A78 2.2GHz)が2つ・省電力なコア(Cortex-A55 1.7GHz)が6つという構成になっています。
一方、Snapdragon 845も8コア構成ではありますが、高性能なコア(Cortex-A75 2.8GHz)が4つ・省電力なコア(Cortex-A55 1.5GHz)が4つと、高性能なコアの割合が多くなっています。

このことから、高性能なコア1個の性能は世代の新しいSnapdragon 695 5Gの方が上ですが、複数コアを同時に動かしたときのトータルの性能は高性能なコアの数が多いSnapdragon 845の方が高くなる、という結果が現れているのだと思います。

3Dmark (3D性能)

左:Xperia 10 IV、右:Xperia XZ2 Premium

Wild Life 実行結果 Xperia 10 IV Xperia XZ2 Premium
スコア 1217 1420
平均フレームレート 7.30 8.50

ここでは「Wild Life」を1周実行した際の実行結果を比較してみました。

スコア・平均フレームレートともに、Xperia XZ2 Premiumの方が上回っています

CPDT Benchmark (ストレージ性能)

左:Xperia 10 IV、右:Xperia XZ2 Premium

CPDT 実行結果 Xperia 10 IV Xperia XZ2 Premium
Sequencial write(4MB) [MB/s] 335.94 118.20
Sequencial read(4MB) [MB/s] 467.31 497.17
Random write(4KB) [MB/s] 24.80 4.07
Random read(4KB) [MB/s] 114.02 9.07
Memory copy(4MB) [MB/s] 5.49 7.21

CPDT Benchmarkを実行し、ストレージ性能を比較してみました。

Sequencial readは2機種ともにほぼ横ばいですが、Sequencial write・Random write・Random readの3項目に関してはXperia 10 IVの方が圧倒的に上回っています

以前Xperia 5 IIのレビュー記事を書いた際に、Xperia 5からXperia 5 IIでストレージ性能が大幅に向上していたことがあったので、そもそもXperia 5以前の世代の端末は最近の世代の端末と比較して全般的に内蔵ストレージ性能が低いと考えられます。

Memory copyの項目についてはXperia XZ2 Premiumのほうが上回っています。Snapdragon 800番台に比べて、Snapdragon 600番台はメモリ帯域が狭く設定されているものと推測できます。

Antutu Benchmark (総合性能)

今回はAntutu Benchmarkによる総合性能の結果比較も行います。

Google Playストアから削除されているため、公式サイトから直接apkファイルをダウンロードし、インストールしました。

左:Xperia 10 IV、右:Xperia XZ2 Premium

Antutu Benchmark 実行結果 Xperia 10 IV Xperia XZ2 Premium
Total 357370 408745
CPU 120691 104334
GPU 65482 157452
MEM 64943 60673
UX 106254 86286

トータルの結果を見るとXperia XZ2 Premiumの方が上回っています。
結果の内訳を見ると、CPU・MEM・UXの3要素はXperia 10 IVのほうが上回っているものの、GPUの項目だけ3倍近い差をつけてXperia XZ2 Premiumのほうが上回っていることがわかります。

3Dmarkを実行した際にXperia XZ2 Premiumのほうが良いスコアが出ていたのが、Antutu Benchmarkではより顕著に差がついた形ですね。

ゲームをインストールし、動作させてみる

ベンチマークだけでなく、ゲームを実際にXperia 10 IV・Xperia XZ2 Premiumの双方にインストールし、実際の動作感を確認してみます。

原神

まずは重量級ゲームの代表格である「原神」から。

Xperia 10 IVの場合

Xperia 10 IVでのプレイ画面。画質設定「中」に設定したときの画面です

デフォルトの画質設定は「低」でした。一段階上の「中」に設定するとデバイス負荷が高いという警告が表示されましたが、ゲージはギリギリ振り切れない範囲に収まりました。

Xperia 10 IVでのデフォルト。画質設定は「低」

Xperia 10 IVで画質設定を「中」に設定

Xperia 10 IVは画面比率が21:9と縦長のため、原神のように横画面でプレイするゲームでは見える範囲が広くなり、画面が見やすくなります。

デフォルトの画質は「低」で、一段階上の「中」に設定するとデバイス負荷が非常に高いという警告が表示されるようになりました。

今回は、デバイス負荷が非常に高い状態で実際にゲームプレイを行ってみました。

  • Xperia 10 IVでの条件
    • 画質設定「中」
    • 最大フレームレート:30

秘境(装備アイテムを入手する周回ダンジョン)を1周プレイしましたが、最大フレームレートを絞っていることもあり、画面のガクつきはあまり感じませんでした。

気になったのは、敵が出現するまでの読み込みラグが大きかったことです。
このゲームでは、制限時間内に出現する敵をどれだけ多く倒せるかを競うイベントが開催されることがありますが、そのようなイベントに参加するには厳しいという印象を受けました。

一方、端末の発熱についてはそこまで酷くないと感じたので、通信が安定している環境でマップをマイペースに探索したり、デイリー任務をこなす程度であればそれなりにプレイ可能だと思います。

Xperia XZ2 Premiumの場合

Xperia XZ2 Premiumでのプレイ画面。画質設定「高」に設定したときの画面です

デフォルトの画質設定は「中」でした。一段階上の「高」に設定するとデバイス負荷が高いという警告が表示されましたが、ゲージはギリギリ振り切れない範囲に収まりました。

Xperia XZ2 Premiumでのデフォルト。画質設定は「中」

Xperia XZ2 Premiumで画質設定を「高」に設定

Xperia XZ2 Premiumは画面比率が16:9のため、Xperia 10 IVと比べると各種UIが画面中央に寄っており、ゴチャゴチャして見えます。
画面がXperia XZ2シリーズより縦に長いXperia XZ3であれば、若干画面全体が見やすくなると思います。

デフォルトの画質はXperia 10 IVより一段階上の「中」でした。ここから一段階上の「高」に設定すると、デバイス負荷が非常に高いという警告が表示されます。

Xperia 10 IV同様、デバイス負荷が「非常に高い」状態の画質設定のまま、ゲームプレイを行ってみました。

  • Xperia XZ2 Premiumでの条件
  • 画質設定「高」
  • 最大フレームレート:30

秘境(装備アイテムを入手する周回ダンジョン)を1周プレイしましたが、Xperia 10 IVのときと同様、画面のガクつきはあまり感じませんでした。
敵が出現するまで若干のラグを感じるのも、Xperia 10 IVとあまり変わらない印象でした。

ただし、気になったのは発熱とバッテリー消費。数分プレイしただけで、温度上昇の警告通知がバンバン出続けました。

原神をプレイし終わった直後の通知画面。温度上昇による警告が出ています

バッテリー消費も激しく、私の環境では平均して1分あたり1%以上のペースで残量を消費しました。
Xperia XZ2 Premiumは購入時点で中古であり、かつ使い込まれてバッテリーが多少劣化していることを加味しても、長時間のプレイは厳しいという印象を受けました。

同じくらいの長さの起動時間でも、原神はウマ娘の倍以上のペースで電池消費している計算です

ウマ娘 プリティーダービー

続いて、原神より負荷が軽いと思われる「ウマ娘 プリティーダービー」をインストールしてみました。

こちらは初回起動からチュートリアル完了までをプレイ。

左:Xperia 10 IV、右:Xperia XZ2 Premium | ウマ娘に関しては縦長画面ではないXZ2 Premiumのほうが画面の情報量が多く見えます

実際にゲームをプレイしてみた感想としては、Xperia 10 IV・Xperia XZ2 Premiumともに画面の引っ掛かりは感じられず、問題なく動くという印象を持ちました。
レース画面やライブシアター機能のような、キャラクターが多く差が出るかもと思っていましたが、Xperia 10 IVでもガクつく様子はありませんでした。

ただし、Xperia 10 IVではホーム画面からガチャ画面に移動しようとするとアプリが落ちてしまうという不具合が記事執筆時点で発生しています。
Xperia 10 IV以外にも、Snapdragon 695やSnapdragon 480を搭載した2022年発売の複数の端末で似たような症状が起きているようなので、現在「ウマ娘 プリティーダービー」をプレイしている方は要注意です。
今後のアプリまたはソフトウェアのアップデートで改善されることを期待しましょう。

☆2022/12/17追記:2022/11下旬時点では、ガチャ画面に正常に遷移できるようになっていました。

動作確認結果を振り返って

3Dゲーム性能はXperia XZ2 Premiumのほうが上に見えるが…?

まず、ベンチマークのスコアだけを見ると、4年前に発売されたXperia XZ2 Premiumの方がゲーム性能のポテンシャルは高い、ということが言えそうです。
3DmarkやAntutu Benchmarkの結果から、ハイエンドモデルの底力が感じられます。

実売価格とベンチマークスコアを比較すると、2万円以下で手に入るXperia XZ2 Premiumのほうが良いじゃないか!と言いたくなりますが、実際はいくつか問題があると思います。

電池持ちと発熱に関する問題

電池持ちに関しては、Xperia XZ2 Premiumと比べてバッテリー容量が大きいXperia 10 IVのほうが有利です。

Xperia XZ2 Premiumはただでさえバッテリー容量がXperia 10 IVより小さい上、現在市場に出回っている個体は基本的に中古品のため、バッテリー性能が劣化しているというハンデがあります。

さらに、Xperia XZ2 Premiumに搭載されているSnapdragon 845は高負荷時に発熱しやすい傾向があります。

「電池切れしそうだから充電しながらゲームしよう」といった使い方をしようとすると、ゲームの負荷と充電の両方で端末が発熱し、結局ゲームどころではなくなってしまいます。
発熱はバッテリーに対しても悪影響を及ぼすので、ただでさえ劣化しているバッテリーが更に劣化する、という悪循環に陥る可能性もあります。

本体ソフトのアップデートの問題

一般に、AndroidスマートフォンiPhoneシリーズに比べて本体のアップデートが打ち切られるのが早い傾向にあります。
目安としては、発売から2年程度でアップデートが提供されなくなることが多いです。

アップデートが配信されないということは、それだけセキュリティ面のリスクが高まると言えます。

Xperia XZ2 Premiumは既に発売から4年経過しており、本体の追加アップデート配信は2020年を最後に行われていません。
Android 10以降は本体のアップデートと別に、Google Play経由で最低限のセキュリティアップデートも配信されるのですが、Xperia XZ2 Premium向けのアップデートは2021年8月分までしか適用することが出来ません。

ゲームをプレイするだけの目的でスマートフォンを使用するのであればともかく、普段遣いのスマートフォンとして長い期間使っていくことを考えるのであれば、既にアップデートの配信が止まっている端末を今から購入するのはあまりオススメできません。

結論:長く使う端末がほしいのか、すぐ使い潰してもいいからとにかく安い端末がほしいのか

各種ベンチマークスコアや端末の実勢価格を見ると、「割引使って4万円のXperia 10 IVより、2万円以下で買えるXperia XZ2/XZ3のほうがいいじゃん」と言いたくなるのもうなずける結果でした。

正直な感想として、ゲーム用途として購入するにはXperia 10 IVは正直オススメできません。

ではXperia XZ2/XZ3がゲーム用途として単純にオススメできるかと言われると、それも違うと思いました。

Xperia 10 IVは、

  • 快適とは言えないが、ある程度ゲームが動作する
  • ゲーム中の本体の発熱は控えめ
  • 発売から間もないため、本体のアップデート配信がしばらくは行われる
  • バッテリー容量が大きく、電池持ちが良い
  • 端末価格は購入方法によるが、概ね3〜7万円

という特徴から、「ゲーム性能は割り切るが、2年間は使うのを考えて端末が欲しい」という人向けだと思います。

Xperia XZ2 Premiumは、

  • Xperia 10 IVより若干ゲームが快適に動作する
  • ゲーム中は本体が発熱しやすい
  • 発売から時間が経過しており、本体のアップデート配信が行われない
  • 中古品がほとんどなので、バッテリーが劣化気味で電池持ちにはあまり期待できない
  • 端末価格が2万円以下と安価

という特徴から、「すぐ使い潰してもいいから、多少ゲームが動く安い端末が欲しい」という人向けだと思います。

端末選びの際は、発売から時期が経っている機種を今から購入しても、最新機種を新品で購入するのと全く同じように使えるわけではない、というリスクを抱えているということを考える必要があります。

当たり前のことではありますが、自分がどのように端末を使うつもりなのか、用途と金額を天秤にかけて購入する必要がありますね。

余談

どうしても「ゲームが快適に動く安いスマートフォンが欲しい!」というのであれば、おそらく記事執筆時点での最適解はiPhone SE(第3世代)だと思います。

様々な場所で割引施策が行われており、MNPであればXperia XZ2・XZ3シリーズの中古品以上に安価に手に入れられると思われます。
バッテリー容量が小さいため電池切れが早いという難点はありますが、iPhone 13クラスの性能を持っているのでコストパフォーマンスは圧倒的です。

最後の最後で身も蓋もない話になってしまいましたが、「ゲームが快適に動作して、安い」という一点に集中するのであれば、下手にAndroid端末を購入するよりiPhone SEを買ったほうが確実です。