前回のXperia 1 VI購入レビューで触れたとおり、今回はXperia 1 VIの初期ファームウェアにおける、 望遠レンズでの実際のデジタルズーム倍率を確認してみました。

前回のレビューはこちら: kazudot.hatenablog.com
検証のきっかけ
発売当日に発表された、不具合修正のアナウンス
キャリア版(ドコモ/au/ソフトバンク)Xperia 1 VIの発売日、ソニー公式からニュースリリースが行われました。
内容は、望遠レンズでデジタルズームを行うと、表示倍率よりも実際の倍率が小さくなってしまうというものでした。
幸い、発売当日に修正ファームウェアが配信されたため、これ自体は大した問題ではないと考えています。
気になったこと
それよりも、個人的に気になったのが「実際は何倍になっていたのか」というところでした。
アップデートを適用してしまえば気にする必要のない話ですが、なんとなく気になります。
アップデート前のデジタルズーム倍率を確かめるには、アップデートを適用する前に実際に写真を撮ってみるしかありません。
ということで、アップデート適用前後でデジタルズームを使用した写真を実際に撮影し、撮影データを比較してみることにしました。
検証
検証方法
検証は以下の条件で行いました。
撮影に関する条件は「だいたいこんな感じ」レベルのものです。
後述しますが、実際に検証で必要だった情報は写真に含まれるメタデータ(EXIF情報)のほうだったため、撮影条件等は重要ではありませんでした。
- 撮影場所・撮影位置
- Xperia 1 VI側の設定
- 検証を行う倍率は、UI上でプリセットとして表示されており、微調整不要で設定可能な2つの設定を利用する
- 10.0x
- 21.3x
- ズーム倍率以外の条件はすべてデフォルト設定のままとする
- 検証を行う倍率は、UI上でプリセットとして表示されており、微調整不要で設定可能な2つの設定を利用する
検証結果
写真作例の比較
まずは、撮影できた写真を比較してみます。
100均のスマホ三脚ではどうしても固定が甘くなってしまうこともあり、写りの良い写真にはなっていませんが、
被写体(アクリルスタンド)の大きさを見比べることで、アップデート前後のズーム倍率に違いがあることを確認するのが主な目的ですので、その点はご容赦ください。
(参考)デジタルズームなし 光学7.1x


まずは参考として、不具合のない望遠レンズの最大倍率で撮影した写真を比較してみます。
パッと見レベルですが、被写体の大きさには差がないですね。
デジタルズーム UI表記 10.0x


続いて、倍率を10.0xに設定した状態の写真を見てみます。
よく見ると、アップデート前の写真のほうが、被写体が小さく写っているように見えます。
デジタルズーム UI表記 21.3x


最後に、Xperia 1 VIで設定できる最大倍率である21.3xに設定した状態の写真を見てみます。
こちらは、アップデート前の写真のほうが被写体に寄れていないことが明確にわかるかと思います。
EXIF情報
さて、スマートフォンやデジタルカメラで撮影した写真には「EXIF情報」として、撮影時の様々なデータが記録されています。
このEXIF情報の中には「デジタルズーム」という項目があり、デジタルズームでの拡大率が記録されています。
今回撮影した写真に記録されているデジタルズーム値が正しいと仮定すると、
- カメラレンズの倍率 × デジタルズーム値 = 実際のズーム倍率
ということが言えるはずです。
以上を踏まえて、今回撮影した写真のEXIF情報を確認し、デジタルズーム値と、そこから計算されるズーム倍率を比較してみます。
EXIF情報の読み出し
Windows上で、ファイルプロパティからEXIF情報を参照してみます。
デジタルズーム値の欄は赤枠で囲っています。
(参考)デジタルズームなし 光学7.1x


- 「デジタルズーム」の値
- アップデート前:1
- アップデート後:1
デジタルズーム値はアップデート前/後ともに「1」でした。
光学ズームのみで、デジタルズームなし…という撮影時の設定と合致しています。
デジタルズーム UI表記 10.0x


- 「デジタルズーム」の値
- アップデート前:1.27
- アップデート後:1.41
デジタルズーム値に1より大きい値が記録されており、実際にデジタルズームがされていることがEXIF情報からもわかるようになっています。
そして、アップデート前の写真に記録されている値が、アップデート後の写真の値より小さいことがわかります。
デジタルズーム UI表記 21.3x


- 「デジタルズーム」の値
- アップデート前:2.34
- アップデート後:2.98
10.0x設定の写真と比べて、EXIF情報の「デジタルズーム」の値の差が大きくなっています。
デジタルズーム値の取りまとめ、および実ズーム倍率の算出
検証で撮影した写真にEXIF情報として記録されている「デジタルズーム」の値、およびそこから算出できる実際のズーム倍率をとりまとめて表にします。
なお、有効数字は2桁としています。
| デジタルズーム値 | アップデート前 (69.0.A.2.18) |
アップデート後 (69.0.A.2.26) |
|---|---|---|
| UI表記 10.0x | 1.27 | 1.41 |
| UI表記 21.3x | 2.34 | 2.98 |
| 実ズーム倍率[倍] | アップデート前 (69.0.A.2.18) |
アップデート後 (69.0.A.2.26) |
|---|---|---|
| UI表記 10.0x | 9.02 | 10.01 |
| UI表記 21.3x | 16.61 | 21.16 |
また、計算で求められた実ズーム倍率が、画面上の値とどれくらい差違があるかを割合(パーセンテージ)で計算してみました。
| 設定倍率との差違 | アップデート前 (69.0.A.2.18) |
アップデート後 (69.0.A.2.26) |
|---|---|---|
| UI表記 10.0x | -9.83[%] | +0.11[%] |
| UI表記 21.3x | -22.00[%] | -0.67[%] |
考察
EXIF情報の「デジタルズーム」の値はおそらく正しい
まず前提として、アップデート後に撮影した写真のデジタルズーム値から求めた実際のズーム倍率がUI上のズーム倍率と誤差±1%以内であることから、 アップデート後の写真に記録されているEXIF情報のデジタルズーム値は、実際のズーム倍率に即した値が記録されていると考えられます。
その上で、
- アップデート前のデジタルズーム写真は、アップデート後に比べて被写体が小さく写っている
- アップデート前の写真のEXIF情報に記録されているデジタルズーム値は、同じ設定で撮影したアップデート後の写真のものより小さい
ということから、アップデート前の写真のEXIF情報のデジタルズーム値も、実際のズーム倍率に即した値が記録されていると判断できます。
アップデート前の「本当のデジタルズーム倍率」は?
EXIF情報に記録されている「デジタルズーム」の値は正しいと判断できるので、先にとりまとめた実ズーム倍率が、アップデート前の「本当のデジタルズーム倍率」だと言えます。
- 10.0x設定のとき:約9.0x
- 21.3x設定のとき:約16.6x
どうしてこのような設定になっていたのか、謎
アップデート前の「本当のデジタルズーム倍率」が計算できてスッキリしましたが、今回確認した結果だけを見ると、本来の倍率とのズレに法則性が見えません。
当初の予想では、10.0x設定・21.3x設定ともに同じ割合で本来の倍率より小さいズーム倍率になると考えていたのですが、 実際は21.3x設定のほうがより小さいズーム倍率になりました。
法則性を見出すには、10.0xと21.3xの間の倍率でも検証してみる必要がありそうです。
しかし、既に手持ちの端末はアップデート済なので、追加検証は困難…ということで、ここで検証は終了です。
まとめ
単なる興味本位でアップデート前の不具合がどんな内容だったのかを確認してみましたが、結果として疑問が解決してある程度スッキリはした一方、
「10.0xと21.3xの間のデータも取っておけば…」と後悔も残る検証内容になってしまいました。
端末をアップデートしてしまうとデータを取り直せないという事情もあるので、こればかりは仕方ないですね。
アップデート未適用のホットモックで確認するという荒業もありますが、流石に店頭の端末でそこまで確かめる勇気はなかった…
繰り返しになりますが、今回検証した内容は既に不具合修正のアップデートが配信されている内容ですので、 Xperia 1 VI購入時の初期設定の一環でアップデートを実行さえしていれば、通常利用で気にする必要はありません。
興味本位と自己満足で調べてみた内容ですが、読んでみて「ふーん、そうだったんだ」程度に思っていただければ幸いです。